人気ブログランキング | 話題のタグを見る

中国で単身生活をすることになったTADAの日々の感じた事を気ままに書いてます。


by wata1150
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

香港系製造会社に入社して(3)

このシリーズも3回目である。今回は営業販売の客先について思うことを述べたものを、引っ張り出してみた。2年前に書いたもので、現在とは大分異なっているのだが。

以前にも述べたが、私が現在在籍している会社は香港系のオーナー企業である。電気部品を製造販売している。

最近、日系企業および、香港台湾系、欧米企業への販売を拡大しようと、いろいろと模索している最中であり、私の存在も日系企業とのコミュニケーションを確実なものにしようとする目的がある。そして、中国のローカル企業向け販売は横ばい気味である。会社の販売は増加し続けているが、中国ローカル企業向け販売比率は低下傾向である。これは何を物語るのか。

中国の会社との取引をする場合にはリスクを伴う。いわゆる支払い問題である。
製品を出荷しても約束の日に代金を支払ってもらえない。伸ばしに伸ばされそれでも支払ってもらえればまだ良い。最悪はそのまま、先方の購買担当者が退社し、“知らぬ、存ぜぬ”で押し切られたり、会社そのものが消えてしまったりする。

私が以前勤務した会社でも、北京に有ったあるディストリビュータが支払いをせず、再三にわたって交渉しても、払ってもらえず、いつの間にか、その会社の社長は行方をくらましていた。 結果的には70万元くらいの損害をこうむったことがあった。こういうことは、中国では日常的に存在し、当社においても、誰も話しはしてくれないが、そういう被害が過去には何度か経験したのかもしれない。

従って、老板も中国系企業とのビジネスはあまりしたがらず、もっぱら日本や欧米、東南アジアなどの信頼の置ける会社とのビジネスを目指している。無論、現在取引している中国系企業は多数あり、依然として当社の経営を支える大きな力になっており、現時点で切り離すことはできないのだが。

日系企業や欧米系企業の多くはグローバル企業であることが多く、納入先は必ずしも中国国内とは限らず、ほかの東南アジアの国であったりする場合も多々ある。また、ビジネスをつかむにしても、中国国内にある工場だけとコミュニケーションを図っていても始まらない場合が多い。先日の投稿で話題にしたC社などは、基本開発は神奈川県にある研究所、機種管轄は茨城県の事業所、ローカル設計は中国蘇州にある工場、生産は珠海工場が管轄し、実際の生産はその外注工場。で、当社の納入先はその外注工場なのだが、一体どこのどの部門と部品承認について話をし、どの部門と価格交渉をし、工場認定はどの部門から来てもらい、注文書はどの部門から発行され、代金回収はどこからするのか。きわめてややこしい。

これを、一人の中国人営業が担当することなど、不可能に近い。また、客先の中国工場にコンタクトをした場合、客先会社の中国人スタッフが対応してくれることになるのだが、中国人スタッフには権限は委ねられておらず、情報も整理された全体像の中のものではなく、きわめて限定的である場合が多く、ほしい情報はなかなか得られない場合がほとんどである。

また、我々のような部品メーカにおいても、営業スタッフは全体を見渡し、情報ベースを基に販売作戦を展開するといった訓練はほとんどされていない。きわめて限定的な地域で、局地戦を行うことしかできない人がほとんどであるのが実態である。

さらに、営業スタッフはコミッション制という給料システムの中で仕事をしており、自分の客先に対しては一生懸命に活動するが、そうでない客先に対しては無関心になりがちであり、営業部全体の成果とか、会社の成果よりも自分の個人的成果に重心を置きがちになる。

このような環境下、どうやって会社の販売を伸ばしてゆくのか、特にグローバル客先に対してどのように営業展開してゆくかは非常な難問になってくるのである。そしてそれは私のこの会社における課題のひとつでもある。


現在は、どのように変わったかというと、セールスコミッション制度は廃止し、固定給とし、日系営業に対してはチーム制とした。また、その他の海外客先については、各国に一社の販売代理店を置き、拡販してもらうことにした。とはいっても、チーム活動や代理店経由の販売をやったことの無いセールススタッフは、どのようにして良いのか分からず、また、コミッションをはずしたことで、今までたっぷりコミッションをもらっていた人は、多少動きが悪くなっている。

世界的不況の嵐が吹き荒れる中、セールススタッフに目標や目的意識を与え、仕組みを変えたことの成果を見えるようにするのは、これからである。
by wata1150 | 2008-12-01 11:37 | ちょっと仕事