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中国で単身生活をすることになったTADAの日々の感じた事を気ままに書いてます。


by wata1150
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中国の経済事情

私は経済の専門家ではないから、難しいことを言うつもりは無い。ただ、現在中国の一地方都市の中小企業に勤務する日本人社員として、どんな状況なのかを言うにとどめたい。

我が社は、日系ではなく香港系の、電気部品を製造販売している、従業員1500人ほどの小さな会社である。しかし、まがりなりにも、OEMではなく自社ブランドで事業を行っている。この小さな会社が現在必死にもがいている。その原因は多々あるのだが、そのいくつかを挙げてみる。

一つ目は材料費の高騰。鉄板、ニッケル、銅、アルミなどほとんどの金属材料が年率数十%という高率で値上がりしている。また、連日新聞やTVで報道されているように、石油が大幅に値上がりし、石油関連製品である樹脂原材料が値上がりしている。

二つ目は外資企業の優遇税率の撤廃による事業税負担の増加。

三つ目は新労働雇用法の改正による人件費の大幅な上昇。会社によっても異なるが、我が社では工場労働従事者の費用がほぼ15%ほど上昇した。

四つ目はアメリカのサブプライムローンの破綻によるアメリカ経済の低迷による影響。我が社の主要顧客の市場はアメリカである場合が多く、アメリカへの出荷が大幅に減ったことによる我が社への注文が大幅に削減したこと。

五つ目はアメリカのドルの大幅な下落による人民元ベースでの収入の減少。我が社の販売の決済通貨の多くはUSドルか香港ドルである。USドルと香港ドルは1USドル=7.8香港ドルで固定されている。しかしながら中国人民元はアメリカドルに対し、年率8%~10%程度で上昇を続けている。従ってUSドルで値段が同一であれば人民元での収入は年率8%~10%程度で減少するわけである。

六つ目は中国におけるインフレの影響。中国はここ数年継続して年率10%以上の高率で経済成長してきた。その結果、ありとあらゆる物価が上昇している。ぜいたく品や輸入品だけでなく、生活必需品や食料品までもが大幅に上がっている。従って給料生活者にとっては、賃金上昇が経済成長率、或いは物価上昇率よりも高くないと、実質生活は苦しくなってくる。企業側としては、物価上昇に見合っただけの賃金のアップを実施せざるを得ない。さもないと生産活動の原動力である、労働者を雇用できない。

他にも銀行の貸出金利の上昇など、いろいろな経営圧迫条件はある。こういった問題に直面し、いろいろな対応を取ってきた。人による生産に代わる自動生産設備の導入、設計改善や作業改善などの合理化推進、最低限度の販売価格の値上げなどである。

しかし、こういった対策にも限度がある。我が社の主要顧客のいくつかの会社は、アメリカ市場の低迷による販売不振のための生産調整、稼働時間の削減などの対策を始めている。大手企業なら、それでもしばらくは持ちこたえられるであろうが、中国の中小企業では立ち行かなくなる場合も有ろう。事実我が社の顧客の一部では経営が立ち行かなくなり、倒産、企業買収、などの憂き目にあう会社も出てきている。今後そう言った会社が増えてくれば人材市場などにも影響が出てくるであろう。多くの工場労働者が仕事を失うことも出てくる。

今まで、中国は世界の工場として、いろいろな会社が豊富な人材を活用して、製品を生産し、世界に供給してきた。そして、それが中国経済を活性化し、高度の経済成長を支えてきた。しかし、オリンピック開催をトリガーとしたのかどうかは解らないが、調整局面に入りつつあるような気がしている。

いくつかの外資企業はその工場を中国からベトナムやインドと言った、より人件費の安い国に展開しつつある。また、同じ中国でも、東海岸よりはコストの安い西部にシフトしているところもある。

そう言った環境下、我が社はどのような経営戦略を実施すべきなのか、更に難しくなってきている。私を含めた数人の日本人スタッフ、老板や総経理などの経営TOPと無い知恵をひねり出しながら、乗り切ってゆくしかない。
by wata1150 | 2008-07-26 00:31 | ちょっと仕事