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中国で単身生活をすることになったTADAの日々の感じた事を気ままに書いてます。


by wata1150
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恵州のタクシー事情

恵州における市民の足として活躍しているのは、バス、タクシー、バイクタクシーなどである。
以前、1元バス、1.5元バスは紹介した。今回タクシーについて紹介しようと思う。

月収わずか1000元や2000元の一般市民や工場労働者に関しては、タクシーは特別なときを除いては高くて使えない。そういった市民は通常はバスを使うのである。バスは距離によっても違うが、現在私が住んでいる地域から、恵州市内までは2元、恵州市内移動もほぼ1.5元から2元で済む。最近はバスの内部も大分きれいになってきて、いやな匂いもないが、時々煙を吐き、大きなエンジン音を響かせて走っているバスも見かける。主に郊外を結んでいる路線などがそういうバスであると思われる。バスのシートはプラスティック製で、タイヤの振動がまともに伝わってくるので、決して乗り心地が良いとは言えないが、しかし10分や15分なら十分に辛抱できる。むしろ、夜に乗って乗り心地が良いために眠り込んでしまって乗り過ごすよりは良いのかもしれない。

だが、時々しか出かけない私にとっては、タクシーは便利である。
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恵州のタクシー事情_e0026744_23472516.jpg


しかし、このタクシー、なかなかの曲者である。日本のタクシーや、上海のタクシーを思い浮かべてはいけない。まず、第一、きれいで乗り心地のいいタクシーなぞ、この恵州ではお目にかかったことがない。日本の中古車センターに行っても、こんなポンコツは絶対に見つからないようなポンコツがタクシーとして立派に走っているのである。10万キロ、20万キロくらいは平気で走っているようで、スプリングの油が効かず、ギシギシ言いながら走っているものも有る。スピードメータが動かずスピードがわからずに走っているものもあるし、ドアやフェンダーなどがボコボコにへこんでいるまま走っているのもある。さらに傷の部分にさびが入り、鉄板がボロボロになったままの物もある。こんな車で車検が通るのだろうか???

さらに運転席や助手席の窓は通常は全開で走っている。冬の寒い中でもヒータをつけて暖をとりながら走るなどということはまずありえない。しっかり着込んで寒さ対策をして乗らなければいけないのである。夏の暑いときでも、エアコンをつけてくれるタクシーはまれだという。ほとんどは同じく窓を全開にして外の風を取り込んで走る。燃費の節約かもしれないが、なんともやりきれない。窓を全開にして走るのはほかにも理由がある。運転手も何か食べ物を持ち込んで空車の時にはそれを食べながら走るので、社内に食べ物の匂いが残るのを防ぐ意味合いもあるようだ。

”タクシーは快適なもの”という概念はまったく持つことができないのだ。

ところが、料金だけはさすがに安い。初乗り料金はなんと5元とメーター表示される。どうもこれは古いメーターのようで、実際はプラス1元らしいが。隣の深圳では初乗りが11元か12元だったと思うし、上海も11元だったような気がする。それから比べると半額。深圳や上海のタクシーはほぼ日本並みにきれいになってきたようなので、恵州のタクシーはおんぼろなだけ安いのか?

最近では、深圳や上海では新車のタクシーが続々投入されている。主な車種はVWの中型車が多い。それに比べ恵州は古いシトローエンやプジョーなどの、いわゆる小型車が多い。不思議なことに、中国国産ブランドのタクシーにはお目にかからない。これらの輸入ブランドの車をせっせと修理を繰り返して、走らせているようだ。深圳で数年間タクシーとして活躍した後の中古車を恵州に持ってきて走らせているのかもしれないとも思う。何せ、恵州で新車のタクシーは皆無だと思う。

タイヤも左右前後がばらばら、磨り減ってさすがに使えなくなったものから一本ずつ交換していった結果のようだ。ホイールも、ムチャクチャ。アルミホイール、鉄ホイールなどバラバラについていてお構い無しのように見える。シートカバーなどついているタクシーも見たことはない。上海では見かけるのだが。

そして、最大の難点は、タクシーの運転手がなかなかメータ通りでは走ってくれないということ。乗る前に運転手に目的地を伝えて、値段を確認する。ほぼメータ通り程度の料金では、乗せてくれない。何割かの上乗せを要求してくる。要求を呑まないと、乗せてもらえないことも多い。客待ちのタクシーが多ければよいが、めったにそんな状況にはならない。仕方がなく高い値段で乗り、領収書(発票)を貰っておりるのが関の山。

何故、そんなにタクシー運転手は強気になれるのか。理由は2つ有ると思う。ひとつは完全な売り手市場であること。タクシーの絶対数が少ないのである。年々、市民の所得レベルは向上し、タクシーの需要は増えている。にもかかわらず、タクシーの数が増えないために、多くの人が一台のタクシーを奪い合うことも多々ある。

もうひとつはタクシー会社の経営の仕組みにある。それは、会社でタクシーを一台調達したら、運転手にローンで販売する。運転手はこの車でタクシー営業を行う。得た利益から毎月ローン返済を行う。故障修理、車検点検、燃料代、オイル交換などすべての経費は運転手が負担しなければならない。運転手から見れば、少しでも多く売り上げを上げなければいけないが、燃料代などをかけたくないから、必然的に客と交渉し、メータより高く料金を取りたいのは理解できる。また、タクシー車のローン返済が完了しても、新規にローン負担することになれば、収入が減るため、同じ車でポンコツになっても走り続ける。事故が起こっても、廃車にはせず、概観を気にせずに修理して乗り続けなければならない。当然ながらサービスは悪くなってしまう。これは聞いた話で、本当かどうかはわからないが、本当のことのような気がする。

こんなタクシー事情では、できれば乗りたくない気持ちも有るが、電車がなくバスも今一となれば、タクシーになってしまう。いつかは恵州も上海や深圳のようなタクシーが走る日が来るだろうとは思うが、何時のことやら。
by wata1150 | 2007-03-09 19:40 | 恵州の事