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中国で単身生活をすることになったTADAの日々の感じた事を気ままに書いてます。


by wata1150
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中国、広東省製造業の危機

今まで、広東省で起業し、発展してきた欧米向けの製造業は大きな転機を迎えている。

私が現在勤務する会社の主要な客先業種に玩具製造業がある。昨年前半まで、我々の会社の収益に大きく貢献してきた。昨年の夏に発生したアメリカのプライムローン問題に端を発した金融危機、そして昨年秋に発覚した鉛入り塗料問題で中国産の玩具業が大きくダメージを受けた。鉛入り塗料を使用したメーカーの社長は自殺した。そして、中国産玩具に対する安全面からの信頼は失墜した。

重ねて、中国産食品への信頼を失墜する事件が相次いで発生し、中国製品そのものに対する諸外国の評価は低落してしまった。それまでも、従来から中国産の製品に対して“安かろう、悪かろう”などと言われてきた。生産販売出荷について、大きく後退するのは仕方ないのかもしれない。

過日、私が今勤務している会社が、ある日系大手電気メーカの工場監査をうけた。その時話題の一つになったのが、めっきの信頼性。その電気メーカの人が話していた。「めっきメーカは日系を採用してください。中国系は品質や信頼性、環境基準などの国際規格認定をお金で買っているところがあるので、信用できません。」その電気メーカの技術者が話してくれたのである。彼女はちゃんとした中国の大学を出た、その会社では中堅管理者的位置にある中国人である。

また、ある別の日系大手電気メーカのサプライヤーミーティングに参加したことがある。その会社の日本の副社長が話していた。その会社は独自の環境基準を持ち、合格すると認定証が発行される。その副社長は認定書にサインをする人なのである。「最近、我社の環境基準の認定書のコピーが出回って、大変困っている。そこで私はサインを変えなければいけない羽目に陥った。」彼は笑いながら話したのだが、笑って入られない事態である。

私はある面で納得もしたが、反面、非常なショックを受けた。規格認定書のコピーをお金で買い、基準に合わない作業でコストを押さえ、人件費を安く抑え、品質の良くない材料で粗製乱造して、安価で欧米や日本などに出荷し、外貨を稼いできたのである。

いま、そういった産業構造が危機を迎えている。当たり前と言えば当たり前なのかもしれない。しかしながら、同じ広東省にあっても、真面目に、規準を遵守し、雇用労働法などの法律を遵守し、従業員福祉を一生懸命考え、薄利ながらも、常に会社の健全な発展を目指して経営をやってきた会社が多々あることも事実である。そしてそういった会社でも、その多くが経営危機に陥り、あえいでいる。苦境は一部の非合法的な会社にとどまらないのである。

おもちゃ業界については前述したが、そのほかにも、カーオーディオ業界、数日前に書いた電話機の業界、携帯電話のアクセサリーを作っている業界など、苦境にあえぐのは一部だけではない。ほとんどの業種に影響が及んでいる。そして、そういった業界のメーカに部品を納入している部品メーカ、材料メーカもまた苦しんでいるのである。

そういった意味では、中国全体に産業構造改革、メーカーの体質改善改革が進んでいるともいえるのであろう。生き残りができないメーカは消え、いち早く体質改善をした会社が生き残り、そして次の世代に受け継がれてゆくのであろう。私も現在の会社の幹部の一員として、間に合うのか間に合わないのかはわからないが、生き残る為に体質改善に全力を尽くさなければ・・・と、改めて思うのである。
by wata1150 | 2008-11-04 23:58 | ちょっと仕事