人気ブログランキング | 話題のタグを見る

中国で単身生活をすることになったTADAの日々の感じた事を気ままに書いてます。


by wata1150
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

広東省製造業の危機

最近、私共の会社がある広東省恵州市にも、不況の波が現れるようになってきた。幾つかの会社でそれを見ることが出来た。

私共の会社の道路を挟んだ斜め向かいにある会社。11月から2ヶ月間の休業に入った。業績が低迷し、受注が大幅に減少し、春節前には回復は望めないから・・・と言うのが理由だそうだが、どうだろうか? そう簡単に春節明けに復活できるかどうかはわからない。

深圳にあるF社という会社、中国だけでも数箇所に工場を持ち、数万人の従業員を有する大企業である。が、ほとんどアメリカ向けのOEM生産販売を主な仕事としており、最近は非常に苦しいと言うことは聞こえてきていた。先月、3万人を解雇すると言う話を聞いた。まだ、倒産と言う事態にはならないようだが、企業としては大幅に縮小せざるを得ないのであろう。

我社の隣にある、欧州系の会社。会社の収益もかなり良いと聞いていた。普段は高給料で人材を集め、したがってなかなか新しい人が入社しにくい会社である。が、最近周6日勤務から周5日勤務に変わった。労働者の給料は5/6に低下する。何人かが離職したそうだ。

新聞や雑誌には連日のように会社倒産、工場閉鎖の記事が並ぶ。中国の製造業は、欧米と言う大市場を抱え、低賃金をベースにした低コストで延びてきたという背景があり、したがって数千人から数万人の工場労働者を抱え、企業運営してきたのである。したがって、一旦企業倒産、工場閉鎖という事態を招くと、数千人、数万人という若い労働者が一度に失職する。ほとんどのこういった工場労働者は、広東省以外の中国各地から仕事を求めて“出稼ぎ”的に出てきた人たちであり、春節前には幾許かの現金を手にして、故郷に帰ってゆく。しかしながら、工場が倒産し、閉鎖されると期待したお金は手に入らず、ふるさとに帰るに帰れず、新たな仕事を求めて広東省を移動する。

我社にも、現在労働者の募集はしていないにもかかわらず、連日のように会社のゲートの前に大勢の人が並ぶ。何とか採用してもらおうと言う人たちである。余裕のある会社にとっては有能な人材を獲得できる千戴一隅のチャンスかもしれない。中には優秀な人材が居る可能性が高く、普通ならばそういった人材は、滅多に獲得ができないのだが、会社が倒産してしまえば、そういった人たちも仕事を探さざるを得ないからである。

我社の人材資源課にも、恵州市の人材センターから連日のように電話がかかる。以前は、我社から出かけていっても、なかなか相手をしてもらえないくらいだったのが、嘘のようである。人材センターに登録をする人が大幅に増えており、就職先が無くてあふれているのだと言うことであった。そして彼らは、従来の会社より給料は安くとも、何はともあれ仕事を探し、給料がもらえるようにすることが優先されるのである、とのこと。

こんな事情は我社の従業員たちも良く知っている。就職難である現在は、年末に向け早めに帰省する人たちを除き、離職する人は少ない。なんとか今の給料を確保したいと言う心理が働くのである。従って、新規採用をすることはなかなか困難であり、折角の千載一遇の機会は失われつつある。もっとも、近在の他社にとっても事情は似たり寄ったりで、今失職した人たちを受け入れる余裕は無い。仕事を失った人たちは、このまま、職探しをしながら、または早めに諦めてふるさとに帰って春節を迎えることになるのかもしれない。
by wata1150 | 2008-11-03 13:05 | ちょっと仕事