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中国で単身生活をすることになったTADAの日々の感じた事を気ままに書いてます。


by wata1150
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広州交易会(2)

昨日、広州交易会の概要は書いたので、今日は私なりの印象や感想を述べてみたい。

まず、第一印象として日本人の参加は少なく、中東アラブのイスラム諸国、インド、パキスタン、バングラディッシュなどの南アジア、中南米、東ヨーロッパ及び北ヨーロッパの人と思しき人たちの人数が多いように思えた。何故であろうか?

中国の海外貿易特に中国産品の輸出において、日本はアメリカなどと共にかなりの高額である。でも、異なってきているのは、中国から輸出される産品の内容、質ではないだろうかと思う。一口にいえば、日本人の消費志向が変わってきたと言えるのかも知れない。

日本も以前は決して豊かではなかったがゆえに、機能があれば、デザインや色にはお構いなし。3種の神器時代には隣も家もみな同じメーカーの同じモデルを持った。隣が買ったから家でも、という競争意識も働いた。そういう時代、メーカーは、同じモデルをいかに多く作るかに集中し、少品種大量生産の文化が育った。消費が一巡すると、よりデザインの良いもの、家の背景にマッチする物、他の家のものには無いユニーク性などが求められるようになって来た。いわゆる個性的な商品が求められるのである。当然買換え需要であるから、従来使ってきたものより、優れた性能の物、コストパフォーマンスの良いもの、使い勝手の良いもの、そしていわゆるデザインの優れた物、かっこいい物などが求められ、従って、価格重視から機能、性能、品質重視へと変わって行った。

ところで、現在の中国の生産志向はどうであろうか。紛れも無く、少品種大量生産が主流であろう。
家電で言うならば、海外ユーザのOEMか、またはODMが中心だが、実際の構造、使用部品などはほとんど変わらず、わずかに、多少の色の変化をつけたり、OEM先のマークをつけたりしているに過ぎない。出荷は、全てコンテナー単位での話しになる。“40フィートコンテナで何本”などと言う商談が多い。“あのモデルを何台、こっちのモデルを何台、あれを何個・・・“などという商談は成り立たないのである。輸送コストの問題だけではない。生産効率の問題が存在するからである。メーカーも、その代わり生産効率を最大限にUPし、価格的な対応でユーザニーズにこたえる。しかも、マーケットは海外であり、輸出することで、大量の外貨を獲得し、中国の急速な経済の発展を支えている。

つまり、日本の消費志向と中国の生産志向には徐々にずれが出始めていると言うことである。そして、このような交易会の主役になるのは、中東アラブや、東欧、中南米南アジアと言った社会インフラがまだ十分ではなく、また家電製品にしてもまだ社会に十分に配給されていない国々が中心となのではないかと思われる。

では日本の中国からの製品輸入は低下しているのか、いやそうではない。むしろ以前にもまして増加しているのである。ただ、日本は中国からの製品輸入について、中国メーカによる標準品を購入するのではなく、日本で開発した製品を中国に生産のみを依頼し、価格は多少割高になっても、多品種生産をし、輸入しているのである。
これに比べて、前述のような国々は、いわば日本の少品種大量生産を目指した時代に酷似している。大量生産、大量輸送、大量購入、大量販売することで自国での市場を獲得し、企業としての業容拡大を目指すビジネスマンがこのような交易会において活躍するのである。

私が、製品について何かを聞こうとしても、日本人とわかるとあまり良い顔はしないような気がする。価格だけ引き下げられて、大きな商売にはなりにくいからかもしれない。

そういった意味では、中国は世界の工場といわれる地位は保ちつつも、変革の時代を迎えようとしているのであり、従来のメインの客先であった、日本、アメリカなどが、主役の座から降り、変わって前述のような中後進国が主役になりつつあるのではないだろうか。

次に、印象が強く残ったこととして、出展者の大部分は相当なレベルで英語をこなしている点である。

日本語で話しかけても答えが帰って来る確率はほとんどゼロに等しい。が、英語で話しかけると、ほぼ100%の人が何らかの答えを返してくる。当たり前だが、中国語で商談している姿は、まず見ることができない。

数年前、私が以前の会社に勤務していたときに、上海で、ある展示会を見学したことがある。無論私はバイヤーではなく、ただ市場を知る為の見学だったのだが。そのときは、中国メーカーや、中国商社のみならず、日本や欧米諸国などの先進国の企業も同時に出展していた。もちろん出展者スタッフは中国人がほとんどであった。そのときは、英語で話しかけても、何も返ってこないことが多く、返ってきたとしても、英語又は日本語が出来る別のスタッフを呼んできます、という中国語の回答だった。

それに比べると、なんと言う様変わりなのか?出展者は100%中国企業であるにもかかわらず、商談は全て英語であった。中にはフランス語を使っていたような企業も見かけたが。いよいよ、中国が国際的になり、中小メーカーでも積極的に海外ユーザーと直接的に会話し、市場を把握し、打って出ている印象を強くした。商社が介在し、中間マージンを取られるより、メーカーとユーザーが直接売買をする方が市場での地位を高めることができることを知りつつあるのではないだろうか。

また、中国政府は子供たちへの英語教育に相当な力を注いでいると聞く。ますます、中国が国際的になってゆくことを実感した。

ところで、広州交易会は、中国各地で行われる交易会の中でも最大規模のものである。上海の新国際展示場の全ての展示場を2階建てにし、更に新展示場を建設し、それでも足りなくて製品ジャンルごとに、2回に分けて開催されている。入場者数などの数値データはわからないが、このような大規模の展示会は、私の長年の会社生活でも未体験である。
そして、家電、電器電子機器関連のブースを歩き回るだけでも、足が棒になり、へとへとになった。次回の交易会には、作戦を考えてから、来なければいけない。
by wata1150 | 2006-04-21 21:58 | 中国国内旅行・出張